1910年の「日朝併合」から100年。
35年に及ぶ朝鮮総督府による朝鮮統治については、日本の敗戦による半島支配が終わつてからすでに65年たつ今日でも、植民地支配によって搾取、収奪が行われたという朝鮮からの批判が続いている。
創氏改名、慰安婦、土地収奪、強制連行、などの、七奪がその象徴としてよく指摘される。
しかし、日本による日朝併合は本当に帝國主義的な植民地支配だったのだろうか。
日本による、半島支配とは具体的に如何なるものであつたのか。
本書は、戦前の赤日新聞の膨大な記事資料を発掘、渉猟し、日朝併合の実相に迫る試みである。
掲載された戦前の赤日新聞の記事を読み進めれば、日本が朝鮮を近代化するために涙ぐましいまでの努力をしていたかが、良く伝わつてくる。
日本の半島経営は、韓国が主張する七奪とはかけはなれたものであったことが、実感としてよくわかつてくる。
戦前の日本はすべて悪いとする戦後の歴史教育の歪みが、多くの日本人の歴史観をきわめていびつなものにしてきた。そのため、朝鮮が主張する日帝の苛烈な植民地支配というイメージが日本人のなかにも固定化している。
しかしながら、大日本帝國下の朝鮮半島の日常生活を生き生きと描き出した朝日の報道を読めば、斯くの如き戦後史観が如何に間違つた歴史の見方であるかが一目で理解できる。